ローンやクレジットカードは整理

概要

 高齢になると、誰でも物忘れや勘違いも増える。しかし、それが金銭関係の場合には、大きな失敗にもつながる。今のうちに、金銭関係の整理を早急に実施して、自分にも遺族にもわかりやすい形にしておきたい。

金銭の貸し借りをしない

 5年後、10年後の世界経済の先行きは、どうなるかわからない。しかし、それよりも、高齢者は、自分自身がどうなるか分からない。そういった状態で、高齢者が金銭の貸し借りをすることは良くない

 そもそも、私的な貸し借りは望ましくないが、特に高齢者は、勘違いや物忘れ、認知症や病気が、相手方にも、自分にも起こりうる。また、自分か相手が死亡した後で清算しようとしても、相手方の遺族にも迷惑をかけることになる。責任を持って、自分が元気なうちに基本的にすべて清算すべきだ。

 同様に、高齢者はローン等も清算すべきだ。一般に、借入金は事業や投資の拡大に活かしていくために必須であり、むしろ、当然だという考え方もある。しかし、少なくとも、年金生活者が個人の生活において、借入金を膨らませ、金利を払い続けても、何も生み出さず、まったくの無駄遣いだ。

 とりわけ、各種ローン、キャッシングなどの金利、手数料、保証料等は極めて高い。これは、銀行もローン会社も同様である。特に、カードローンやクレジットカードのリボ払いは高利の借金であり、金利や手数料が非常に高くつき、習慣性もある。見えないところで雪だるま式に増殖する性質があるので、そもそも、利用すべきではない。特に、退職後の無職・無収入の立場では、リボ払いは利用してはいけない。

 同様の理由で、現時点で、自動車ローン、カードローン、リボ払い、キャッシング、分割払いなどの各種借入金が残っている人は、できるだけ速やかに全額を繰上返済し、清算しなければならない。

 ただし、無理に一遍に借金を清算することで、生活のための手持資金が無くなってしまうようでは、不測の出費に対応できなくなる。そこで、まず、各種借入金を一覧表にした上で、優先順位を決め、計画的かつ、できる限り速やかに、順次、計画的に清算する事が大事だ。

 いずれにしても、高齢になれば、もう収入がなくなる方向なのだから、この際、家族や親戚、友人や知人等との金の貸し借りはもちろん、銀行や貸金業者の借金や各種ローンも、すべて確認・精算してしまうことだ。

 もちろん、銀行ローン、自動車ローン、リフォームローンを組むなど、新たな金の貸し借りも始めてはいけない。最近は、無担保ローンが横行しているが、いくら借りやすいからと言って、高齢者は、私的な貸付金も、また、各種の借入金も、遺族に残すべきではない。 

 なお、借入金ではないが、金融機関の手数料は要注意だ。ATM手数料、振込手数料なども非常に高額だ。低金利の時代においては、数年に一度ATMを利用するだけで、普通預金利息は赤字になる。ネットバンクや普通銀行でも、一定の条件で手数料が無料になるので、良く調べて利用する必要がある。

各種カードや電子バンクを一覧表にする

 高齢者は、概ね、加齢により、もの忘れが進む。ETCカードや未使用のカード等を含め、おそらく、自分のカード類の全貌がわからなくなっている人も少なくないと思う。しかし、各種クレジットカードや各種会員権も年会費を伴うことが多い。いずれ、死亡した後や老人ホームに入る時には解約しなければならない。この際、いったん、すべてのカードを集めて、分類・整理、解約しよう。 

カードを並べて両面をコピー

 無駄な年会費の負担や紛失による事故等を避けるため、いったん、手持ちのカードを全部集めて分類・整理し、全部、並べて裏表のカラーコピーをとる(リストA)。その日付を記入して念のため、自宅に作成・保管する。

使用しないカード類の解約

  使用していないクレジットカード、銀行カード等は解約する。あまり使っていないカードは解約して、最低限の枚数に絞ることがポイント。たいてい、電話するだけで解約できる。

 ただし、退職後の無職・無収入の立場だと、今後、必要になっても新規加入は難しいかもしれない。大手のクレジットカード会社のカードを2〜3枚は残した方が良い。銀行口座も同じだ。使っていなくても、2〜3の銀行口座は残した方が良い。

 解約することとしたカードは、確実に解約手続きをした後で、カードを細断して捨てる。(リストA)の解約済みのカードの場所に大きくバツ印と解約日・連絡先を書き込む。

 その後、カードの解約漏れがないかどうか、銀行口座からの引き落とし内容を細かくチェックする。ただし、1~2か月は使用済み分の引き落としが続く場合がある。

残すカード類を並べて、再度、コピーを保存

 残すこととしたクレジットカード、銀行カード等は、全部、並べて裏表のカラーコピーをとり、その日付を記入して自宅に作成・保管する(リストB)。

 こちらの(リストB)は、財布やカードの紛失連絡、次回のカード整理、死亡、認知症、老人ホーム入所などの場合に家族がカード会社へ解約を連絡する際に役に立つ。これを見て、解約することになるので、家族にも分かるような形で保管する。

 なお、最近は、請求明細が郵送されないカード会社が多い。郵送できないカード会社については、自分でパソコンで、毎月、確認することを習慣づける。面倒ならば、郵送を申請しておけば、自分も家族も分かりやすい。

サブスクは分割払いよりも危険だ

 近年は、ネットでの映画やPCソフトなど、あらゆる分野で、定期的・継続的な購入に結びつけるための戦略として、毎月払いなどを組み込むサブスク(サブスクリプション subscription)という売り方が増えている。

 たとえ、1回あたりは少額であっても、解約するまで永遠に継続するので、総額が確定していないという点では、サブスクは分割払いよりも危険だ。また、各種の積立、互助会的なもの、会員権サービス、スマホ、光回線のようなもので、定期的に支払いが発生するサービスも同じだ。

 しかも、数が増えると分からなくなる。どうかすれば、本人も忘れてしまう。自分が、いつ消えても良いように、毎月払い、毎年払い、会費といったサブスクは、全部、一覧に整理した上で、家族や近親者に場所を伝えて安全な場所に保管しておくことが有効ではないか。


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